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読了:メタ思考トレーニング, 細谷功 [読書日記]

* メタ思考トレーニング, 細谷功, PHP研究所, 9784569827735

上位概念で考えましょうという、ビジネス含めた思考法啓蒙本。
(半年ほど前に読んだ「会社の老化は止められない・・・」と同じ著者であることに読後に気付いた。うーん。)

帯紙の表紙 「問題: 信号機と特急の停車駅、共通点は?」 がなかなかにキャッチー。(元鉄道マニアには直ぐにわかりましたが。)
「はじめに」で上位概念の概略を解説、続けて概念を上位にあげるための色々な考え方が提示され、その具体的な話がサワリだけ提示されるという形式で章立てが進んでいく。項目としてはなかなか興味深いものが多い。「なぜ3回」なんていう耳慣れた話もふつうにでてくる。アナロジー化もふつうに提示される。などなど。

本書を読んでいて消化不良気味に思ったのが、それぞれの項目について演習例題が提示されており、これがなかなか面白い思考実験だったりするのだが、巻末にでも解答の一事例でもまとめてもらえれば書籍として完結した形になるのでは、というところ。そこをちゃんと考えなさいということなのだろうが、やや気持ち悪さが残った。

メタ思考トレーニング (PHPビジネス新書)


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読了:かくして殺人へ (And So to Murder), カーター・ディクスン [読書日記]

* かくして殺人へ (And So to Murder), カーター・ディクスン, 白須清美, 東京創元社, 9784488118426

カーのH.M卿ものである。
舞台は第二次大戦下のイギリスはロンドン近郊、映画会社のスタジオに集まる面々にしのびよる黒い影、何度かの襲撃の末、ついに魔の手が目的を遂げたかに・・・という、なかなかサスペンスフルな雰囲気のミステリである。

まずもって舞台が映画スタジオで、おもな登場人物が映画監督であったり、脚本家、女優などというところで、なんだかハリウッド映画の原作(近作では"La La Land"とか)みたいな話なのかなぁと思ってしまった。
登場人物はおおむね冒頭に紹介され、そして続けざまに事件が勃発。これがかなり絞り込まれたクローズドサークル状態(いきなりここまで絞るのか!)。警察は当てにならず、登場人物たちは自ら謎を追うのだが・・・、と突然H.M卿登場、という読者の意表を突く展開が楽しい。

最後の最後でH.M.が指摘する錯誤(?)は、うーんこれはちょっとした見落としに近いような気もしますが、でもカーが特殊な叙述に頼ったわけでもなし、どちらかというと特異な舞台環境での速い展開に読んでいるほうがついていけてなかった、ということのような気がしたのでセーフなのでしょう。
そして事件は結末を迎え、めでたしめでたしとなる。オチも気が利いているが、それを読んでも、やっぱりこの作品は映画原作という感じがしてきます。カーにはそんなつもりはなかったのかもしれませんが。

かくして殺人へ (創元推理文庫)


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読了:ようこそ授賞式の夕べに (成風堂書店事件メモ(邂逅編)), 大崎梢 [読書日記]

* ようこそ授賞式の夕べに (成風堂書店事件メモ(邂逅編)), 大崎梢, 東京創元社, 9784488487065

大崎梢の書店員探偵シリーズの第四弾。
現役の書店員である女流名探偵コンビが活躍する成風堂シリーズと、同著者の別シリーズとして展開されていた出版社営業マン「ひつじ」君シリーズとがついに合体!という構成。なかなか面白い趣向である。

冒頭、「書店大賞」なる(なんだか聞いたことある気がしますね。笑)年次の一大イベントにしのびよる暗雲が提示され、登場人物たちは問題を回避するためにそれぞれの立場で奮闘するのだが・・・といったストーリ。例によって大規模な犯罪やら血なまぐさい事件は起きないので、そのあたりは心配しなくてよい。

本作は、タイムリミットを切った事件設定になっているのもあって、ややサスペンス調。このあたりは著者も狙っているところのなのかもしれないが、そのせいか、個人的には、これまでの作品に比べてあまり落ち着いて読める感じがしなかった。それから、謎の解決に至るあれこれがだいぶ場当たり的というかご都合主義だったりするのが(しかたないところもあるが、特に結末近くで)読んでいてだいぶ気になって仕方なかったのが、全体としてマイナス印象。
一方で、もともとどちらのシリーズも、書店もしくは出版社の内情に通じた著者ならではの臨場感がウリであるところもあり、舞台裏的な描写の細かさは本作も同じ。自分は一介の読者であって業界関係者ではないので、あーあるある!のような感情移入はできないのだが、そのあたりが楽しく読み進めるスパイスなのは変わりないようではありました。

ようこそ授賞式の夕べに (成風堂書店事件メモ(邂逅編)) (創元推理文庫)


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読了:かもめ食堂, 群ようこ [読書日記]

* かもめ食堂, 群ようこ, 幻冬舎, 9784344411821

いかにも群ようこらしい小説。
2006年に映画化されている。

フィンランドはヘルシンキの街角を舞台に、日本食レストラン(食堂?)を経営する日本人女性と、そこに集う人々の日常やハプニングを描く。
おもな登場人物である3人の日本人女性は、それぞれに事情をもってヘルシンキにやってくる(辿り着く?)のだが、ものがたりは深刻さをあまり感じさせず、ときどきプッと吹き出すようなエピソードを交えながら、どちらかというと淡々とこれを描いていく。

群ようこというと、個人的にはエッセーのほうが印象が強い。国内、海外問わず、どこへでも精力的に出かけていき、現地ならではの活動を実行しきって、その場その場でいちおうの立ち位置を確立してくる。そういう空気が、どうやらこの小説にも綿々と流れているような気がした。

ちなみに映画化された映像では、多少幻想的なイメージを盛り込んだりしていると思ったが、本作では特にそのような味付けはないようなので、あれは映像化の際に加えられた観点のようでありました。

かもめ食堂 (幻冬舎文庫)


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読了:侍女の物語 (The Handmaids Tale), マーガレット・アトウッド [読書日記]

* 侍女の物語 (The Handmaids Tale), マーガレット・アトウッド, 斎藤英治, 早川書房, 9784151200113

ディストピア小説である。部分的に直接的な描写方法も含め、内容はかなり「エグい」と言えるだろう。

語り手であり、かつ登場人物である「わたし」。自身の自由(というより基本的人権か)を奪われた状態におかれているらしいことが、冒頭読み始めるとすぐにわかってくる。どうやら文明化された国や地域で暮らすものには、現時点でちょっと考えられない事態。特定層に対する思想矯正、拷問の恐怖、情報統制、密告の奨励、個人の自律性の剥奪、もしくは教育を与えないまま世代交代を図るなど、これでもかというほどの歴史上人類が活用してきた手法が繰り出されていく。

読んでいて陰鬱になることこの上ないのだが、しかしページを操る手を止められない。ものがたりの作りは情報小出しにしながら進展していくパターンで、ややまどろっこしいという感もあるが、結局のところ読み進めるにつれ読者は着実にこの世界観に絡め取られていくのである。

なかなかちょっと絶妙な翻訳に助けられているところもある。通しで読んでいて、翻訳が難しそうな原文が想像できる部分があるのだが、まぁ余計なことを考えないで素直に読んだほうがよさそうだ。

ラストシーンをどう解釈するかは難しい。読み終えて、この絶望感溢れる社会描写をついつい現実の2017年の世界情勢に投影したくなる。しかしそれはsci-fiに対して野暮というものでしょう。オーウェル「1984」がまた売れているなどというニュースも見かけるが、それはそれ。

侍女の物語 (ハヤカワepi文庫)


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読了:黒龍荘の惨劇, 岡田秀文 [読書日記]

* 黒龍荘の惨劇, 岡田秀文, 光文社, 9784334774073

探偵「月輪(がちりん)」シリーズ第2弾である。
岡田作品は、同シリーズ第1弾の「伊藤博文邸の怪事件」に続き2作目の読了。

舞台は明治中期、東京郊外にある邸宅「黒龍荘」で首なし死体が発見される。
被害者は山形有朋にゆかりの人物。語り手たる杉山君は、旧知の探偵・月輪龍太郎とともに黒龍荘へと乗り込むのだが・・・という話。
帯紙にもあるのでネタバレにはならないと思うが、わらべ唄に沿った見立て連続殺人の結末やいかに、というあたりが本作の見どころだろう。

例によって、旧家の蔵から杉山君の手記が発掘され、岡田はそれをそのまま現代語に書き直しただけなのだという設定だが、前作と違ってそれ自体はものがたりの出来にそれほど貢献していない気もする。
それよりなにより、時代が明治中期というのが絶妙。舞台配置として新橋から銀座に馬車鉄道が通じていたり、各所の照明はあくまでも暗く、郊外の移動手段はこれすべて馬車や人力車であったりする描写を楽しむのも一興。しかしそれはあくまで余興。法月氏の解説でも言及されるが、ドイルがホームズものを執筆していたのと同時代ということになり、本作のメイントリック自体がこの時代ならでは。いや楽しいヤラレタ感。

個人的には、たまたまこれの直前に「地図で解明! 東京の鉄道発達史」だの「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」をちょうど読んでいたのも、当時の雰囲気を醸成してくれるサポートだったのかも。

黒龍荘の惨劇 (光文社文庫)


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読了:それでも、日本人は「戦争」を選んだ, 加藤陽子 [読書日記]

* それでも、日本人は「戦争」を選んだ, 加藤陽子, 新潮社, 9784101204963

日本近代史の講義、である。帯紙には「日清日露から敗戦まで。なぜ人々は繰り返し戦争に熱狂したのか?」。
この売り文句で、日本人の国民性が・・・といった切り口かと思って読んだのだが、少し違ったようだ。
中学高校で近代史は年度末時間切れでパパッとすませられていた(ような気がする)せいか、自分の覚えている基本的知識が薄いのがまず一つ問題なのだが、その上でもこれはちょっと色々と考えさせられた。

まず構成が講義録というか、話し言葉の録音からテキスト化したような様子。最初はどうも読みづらいなぁと思っていたのだが、慣れてしまうと案外すっと頭に入ってくる形のようであった。
(ちなみに講義相手は神奈川県の名門進学校である栄光学園高校の歴史クラブの面々である。時々彼らが質問を飛ばしたり、問いかけに回答したりするのだが・・・すみません近代史は極端に弱くてついていけません・・・。)

で、読み終えての感想ですが、、、
タイトルにある「日本人は・・・」というよりは、「日本の指導層?天皇?政府や国会?軍部?はたまた日本という存在自体?は・・・」という話になっているようである。自らまいた種も含め、その時点で外交やらいろいろあった上で、もうどうしようもなくてそっちの道を選ばざるを得なくなった、という様子が講義の中で明らかにされていく。日本に限らずどこの国家 or 集団でも、戦争終結後にやらざるをえない後始末、それが結局後を引き・・・というくだりは、そうであることは分かってはいるもののかなり無力感に襲われる。

よく「過去から学べ」なんて言いますが、そんな簡単に学んでなんとかなるものでもないような、暗澹たる気分にもなります。しかしそうはいっても学ばなければなにも進まないのも事実。果たして人類は、この自分自身の持つ障壁をいつかは克服できるものなのでしょうか???

それでも、日本人は「戦争」を選んだ (新潮文庫)


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読了:セブン殺人事件, 笹沢左保 [読書日記]

* セブン殺人事件, 笹沢左保, 双葉社, 9784575518979

笹沢左保の連作短編を7編収録したもの。1980年作品の再文庫化ということらしい。
帯紙には「書店員が選んだもう一度読みたい文庫ミステリー部門第1位」なるコピーが躍る。これが目についてついつい購入。
笹沢作品を手に取るのは、ずーっと昔に読んだ「求婚の密室」以来2作目である。

セブンとは、収録されている7つの事件のことのようだ。
いずれの作品も謎解きを受け持つのは、所轄署の宮本刑事と警視庁の小林刑事のコンビである。この二人が異なる仮説を立てて議論を戦わせながら進相に近づいていくという過程がなかなか面白い。

本作では、あっと驚く超絶トリックとか、犯人はあなたですね的なサスペンスは余り期待してはいけない。どちらかというと、足で稼ぐ調査を重ねて、可能性をつぶしていって、という捜査過程。流れとしてはクロフツ的ともいえるかもしれない。それでいて各話の結末にはそれなりに驚きのどんでん返しの趣向が。読み進めながらドキドキする楽しみには十分である。

個人的には、全体で「セブン」という軸かなにかが仕込んであるのかと勘違いしていて、あれ?これで最終話?と思ってしまったのだが、別にそういう意味のタイトルというわけではなかったようだ。

セブン殺人事件 (双葉文庫)


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読了:地図で解明! 東京の鉄道発達史, 今尾恵介 [読書日記]

* 地図で解明! 東京の鉄道発達史, 今尾恵介, ジェイティビィパブリッシング, 9784533109546

タイトル通り、マニアな本である。今尾作品は「絶景鉄道」に続き2冊目。
やや大判の本で、図版が多く収録されているのが特徴。ざっくり、紙面の半分が文章、半分が写真や地図で占められている。

内容は、東京の都心および周辺地域の鉄道発達史、というところ。明治後期から戦前くらいまで、現在の鉄道網の骨格が形作られていく過程が、たぶん本書の中心の軸。現在のJRの路線は扱いが小さく(最後の章、戦後の貨物線の変貌の話では中心的に語られるが)、よって主体はあくまで私鉄である。

参詣狙いの旅客運輸が初期の私鉄路線形成の重点ポイントであるのは知ってはいたが(京急の祖である大師線が有名)、京成の金町線(柴又帝釈天)、京急の羽田線(穴盛稲荷)もそれ狙いであって、結構早期に敷設されているとか案外知らないことばかり。なんでこんな変な方向に延びる短い視線があるんだよーなどと思っていた自分はまったく浅はかでした。そのほか、東村山付近の西武のスパゲッティ路線図がなぜできたのかとか、当時のビジネスの思惑がぐちゃぐちゃで面白すぎる。掲載されている地図をにらみつけながら、なんとも楽しい読書タイムでありました。

なお、本書はどちらかというと旅客の話が主体であって、それゆえ貨物主体の私鉄であったJR相模線、JR南武線のような路線はほとんど取り扱われていないので、そのあたりに興味がある場合は注意が必要。また、私鉄各線の栄枯についても、歴史上もどちらかというと地形よりも営業上の都合によるものが支配的であったようであるので、タイトルにある「地図で解明!」というのはちょっと微妙な気がした。確かに複数年の地形図をみることで、都市化の状況が手に取るようにわかるのは確かなのですが。

地図で解明!  東京の鉄道発達史 (単行本)


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読了:猫は毒殺に関与しない: 猫探偵 正太郎の冒険5, 柴田よしき [読書日記]

* 猫は毒殺に関与しない: 猫探偵 正太郎の冒険5, 柴田よしき, 光文社, 9784334773779

柴田よしきの猫探偵正太郎シリーズ第5弾。短編3編を収録。
第4弾を読んだのはだいぶ昔なので、もうだいぶ懐かしい感じである。見かけて即購入。

開いてまずパッと見で、行間がやたら広くて間延びしているのが気になった。
最初メタ的ななにかをねらった効果なのかと思ったが、最後まで同じピッチだったので単にページ数の都合のようなものと思われる。

1本目は表題作でもある「猫は毒殺には関与しない」。なかなか正太郎が登場しないなぁと思って読み進めていたら、えぇ~という結末、というか正太郎の登場。個人的にはちょっとううぅーんという感じがした。

2本目は飛ばして、3本目。のっけから正太郎くんが登場してます。これですよこれ。猫視点と飼い主(同居人)視点が交互に描かれていき、そして最後には、、、という話。ちょっとありがちな展開かなとも思いましたが、正太郎くんの活躍と独白が面白くて楽しめました。やっぱり猫探偵シリーズはこういう感じが良いですね。個人的にはこの3本目だけでよかったかも。全体の分量的にもやや物足りない感じがしました。

猫は毒殺に関与しない: 猫探偵 正太郎の冒険 5 (光文社文庫)


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