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読了:青白く輝く月を見たか? (Did the Moon Shed a Pale Light?), 森博嗣 [読書日記]

* 青白く輝く月を見たか? (Did the Moon Shed a Pale Light?), 森博嗣, 講談社, 9784062940757

森博嗣のWシリーズ第6弾である。舞台はいうなれば、北極編、とでもいおうか。

前作(南アフリカ編)までは「ウォーカロン」の解釈が物語のかなりのウェイトを占めていたのだが、ずいぶんと雰囲気がちがう。本書の主題はA.I.、いまをときめく(笑)人工知能である。もちろん森ワールドでは、単に人工知能がすごいみたいな話はもう出尽くしているので、そういう展開ではない。ややネタバレになるのかもだが、これまで「人間」と「ロボット または 人工物」の差異とは何か、と問われていたあたりをさらに一歩踏み出した感じ。バイオテクノロジィ的なガジェットはほとんど出てこないのが、(自分がウェット系の技術分野には相対的に疎いからなのかもしれないが)臨場感を醸し出すような気もするし、しかし逆にA.I.の描かれ方が多少SF観点ではステレオタイプっぽいような気もして、ちょっとだけぶっとび感が緩んだような気もしてしまう。期待しているベクトルが間違っているのかもしれないが。

そういえば前作もだったが、いわゆる派手目な戦闘シーンがすっかり影をひそめた(ちょっとだけあったけど)。やはり作者の執筆スタイルが変わったのかも。

青白く輝く月を見たか? Did the Moon Shed a Pale Light? (講談社タイガ)


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読了:静かな炎天, 若竹七海 [読書日記]

* 静かな炎天, 若竹七海, 文藝春秋, 9784167906740

女探偵・葉村晶シリーズである。
例によってタフで不運なハードボイルド小説なのであるが、本作はこれまでよりはえげつない状況は薄まっている感じがする。探偵もちゃんと歳を取るということなのか、確かに肉体的にきつそうな状況は多々あるようなのだが、これまでのようにやたらめったら痛めつけられたりといった描写はかなり低調。まぁ個人的にはその手の描写は読んでいて辛かっただけなのでよいのだが。なにせ前作まではとんでもない事故やら何やらに巻き込まれ(突っ込んで)いましたからね、この探偵。

本書には、連作の形の短編5作が収録されている。どれも葉村探偵が拠点を構える古書店が少しずつからむ。というより古書店の店長がむりやり絡んでくる。このあたりはミステリ本のうんちくが混じったりがなかなか楽しい。また、本作では葉村探偵のタフさの描写のあちこちで、東京近郊(といっても主に都内&都下のみ)の近郊電車であちこち引きずり回される、という趣向がある。個人的には路線網を頭にちょいと置いて読めて面白いのだが、このあたりの鉄道路線に不案内な読者だと面白みが半減するような気もした。

葉村シリーズを読み継いでいる人なら、読んでおいて良いのではと思うが、単独でこれだけ読むと、ドタバタ加減になんだかイライラするかもしれない。

# ところで「スリッポン」って何? 文脈からはいわゆるクロックスのことなのかなぁ(笑

静かな炎天 (文春文庫)


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読了:世界をつくった6つの革命の物語~新・人類進化史~ (How We Got to Now - Six Innovations that Made the Modern World), スティーブン・ジョンソン [読書日記]

* 世界をつくった6つの革命の物語~新・人類進化史~ (How We Got to Now - Six Innovations that Made the Modern World), スティーブン・ジョンソン, 大田直子, 朝日新聞出版, 9784023315303

人類の技術発展の経緯を多面的にとらえた科学史と人類史のあいのこのような著作である。
参考文献リストなどを見るとなかなかの労作のようで、データに偏りすぎることもなく、といって逸話のような話ばかりにもならないようにバランスして書かれている印象だ。

取り上げられている技術のうち、主題の点に限れば、技術についていろいろ学んだことのある読者ならば、ふんふん知っているよこれ、といえるような内容が多い。しかし本書はそういう観点にとどまらない。その技術がその時期に実用化できた背景、それは技術的な点であったり、社会的要請であったり、人々の意識の問題であったり、さまざまなのであるのだが、それと二人三脚のように技術が実用化されたのだ、といった分析に重点が置かれているようだ。著者も書いているが、概要だけ聞くとあたかも風が吹けば桶屋が・・・のようにも聞こえる話。しかしそのように主張するからには、ちゃんと著者はそれなりに史料や証拠を提示している。このあたりはなかなか緻密で好感。

おそらく本書は、多少なりとも技術をかじった者が読むと、さらさら読めるのに、深くて、ワクワクできて、そして面白い、と思えるのではないか。個人的には、本書であらためて認識した事柄も多かったこともあり、なかなか良いものを読めたなというのが読了しての感想だ。特にガラス工業の登場(に始まる多方面の技術の爆発的な進化)に関する、まったく僥倖のようなケイ素物性の話。光通信技術を少しやったことがある者は、石英光ファイバーとエルビウム添加ファイバー増幅器に関するまるで奇跡のような物性の話が脳裏に浮かぶに違いない。最後まで楽しめました。

世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史


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読了:すばらしい新世界〔新訳版〕 (Brave New World), オルダス・ハクスリー [読書日記]

* すばらしい新世界〔新訳版〕 (Brave New World), オルダス・ハクスリー, 大森望, 早川書房, 9784151200861

ディストピアSFの古典。1932年の著作である。
この世界では、全ての人間は生まれる前から管理され、選別され、条件付けされ、階級化されている。受精卵への干渉や睡眠学習やらにより、それぞれの階級の構成員は、だれもがその現状に満足し、それぞれが幸せであると感じている、そういう世界が舞台である。

帯紙で伊坂幸太郎も書いているが、とんでもない悪夢だといえる状態であるのだが、少々コメディタッチにも見える書きっぷりから、これがディストピアなのかユートピアなのか読みながら時々混乱する。(一部、なぜか変わり者であるバーナード君を除き)登場人物はみな楽しそうであるし、下層階級の者であっても社会に不満があるわけでもなく、別に暴動や犯罪も起きないのだ。「1984年」やら「華氏451度」やらとは一線を画しているような感じで読み進めてしまう。

ものがたりは後半、観光(?)のため「保護区」へと赴いたバーナード君がとんでもない偶然により「野人」に出会うところから急展開する。
すばらしい現代社会へと連れ出された「野人」を巡り、いろいろと騒動が起こるわけだが、ここで野人が体現している常識としての生き方、ものの考え方は、どれも現代の人間社会が持っているものに他ならない。ここへきて渦中の「野人」は面倒な体験をすることになり、そしてディストピアがディストピアたる部分が(読者にとって)浮き彫りにされていくのだ。個人的には最後の幕引き方法は少々気になったが、しかしディストピアもの古典の名作であることは間違いないでしょう。

すばらしい新世界〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)


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読了:「昔はよかった」病, パオロ・マッツァリーノ [読書日記]

* 「昔はよかった」病, パオロ・マッツァリーノ, 新潮社, 9784106106262

過去を美化する風潮への警句である。2015年の出版。
帯紙には「なぜ日本人は過去を美化するのか」とあるが、本文を読んでいくと、これは必ずしも日本人には限らない、ずっと過去からの人類の病のようなものということのようだ。どうやら孔子もそのように言っていたようです(笑。

「昔は安全だった」「絆と人情があった」「みな礼儀正しかった」なんていうのは単なる記憶誤りであって、史料や統計資料にあたってみれば逆の状況だったことが明確になる、というのが本書の主張。参考文献もそれなりにちゃんと引かれているようなので、この辺のロジックはたぶん信用して良さそうである。特に本書でボリュームを確保している治安、安全の話は興味深い。あたりまえですが、この種の統計情報は(観点が時代とともに変わったりはしても)基本的な情報として正式なものが残っているわけで、これはだいぶ当てにして良さそう。

若者の根性が足りないとか、社会的マナーの劣化とか、このあたりは先日読んだ「江戸しぐさ」ばりの話で笑えるところでもある。戦前の電車の乗り降りのマナーがひどいものだったという話などは、(本書では引用されていないが)寺田寅彦の随筆でも触れられていたりするので明白な事実なのだと思われます。

一方で本書は、記述自体のロジックがいまひとつ厳密でなく、少々面白おかしく書かれている印象をうける。このあたりが参考文献として利用したい場合に障害になりそうな感じがするのがちょっと残念。

「昔はよかった」病 (新潮新書)


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読了:役に立たない読書, 林望 [読書日記]

* 役に立たない読書, 林望, 集英社インターナショナル, 9784797680096

読書論である。
念のため、「若者にもっと本を読ませましょう」のような単純な話ではない。若い人に読書を勧めてもいるが、どちらかというと、生涯読書を楽しんでほしい、でも実務的な本に絞るのはどうか、という論調であろうか。
課題図書を与えて感想文を書かせる、といった取り組みは一刀両断。ビジネス書を読むのを止めはしないが、誰かが勧めたからで本当に自分で読みたいと思いましたか、とも問いかける。「自分が読みたい本を読む」「読書に貴賎なし」などなど。

たぶんに著者の独断によるものもとはといえ、なるほどと頷かされることも多数。本文に書かれているが、ここで紹介されている本の読み方がすべてではもちろん無く、それぞれの読み方があって当然。それぞれの読み方を許容すべきじゃないですか、というのもポイントのようだ。
なんだかんだいって、ビジネス書はそれはそれで役に立つと思うし、だからこそ自分もちょくちょく読んだりする。技術書解説書なんてのは実用の最たるものだ。(それも良く読むが。)そうはいっても一定の割合で文芸書を読みたくなって、どうにか時間を作って読んだりするわけだが、まぁそういう読み方もあってよいだろう、と思うことにしたい。

基本的に本書は、具体的にああすべしこうすべしといったことは勧めていない。こう考えるとこんな良いことがあるかもよ、こういう行動ならこんな世界が開けるかもよ、といった、なんというか導きか篝火か。いわゆるテクニック系のビジネス書を読みつけているといらいらするかもしれない。

なお、本書は中盤にだいぶ紙数を割いて古典(ここではいわゆる古文のこと)の楽しみについて書かれているのだが、個人的には正直このくだりは読み進むのに苦労した。著者も言っているように、学生時代に無味乾燥な古文授業を受けていたせいか、どうにも古文にはとっつけない。このあたりも人によるということか。

役に立たない読書 (インターナショナル新書)


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読了:ムカシ×ムカシ (REMINISCENCE), 森博嗣 [読書日記]

* ムカシ×ムカシ (REMINISCENCE), 森博嗣, 講談社, 9784062936040

森博嗣のXシリーズ第4弾である。

なにやらいわくありげな旧家が舞台、その屋敷の主人夫妻が殺されるという事件が起き、いつもの探偵事務所の面々が屋敷の遺品、そのほとんどは美術品ということなのだが、の整理業務を請け負って現場に出入りしているのだが・・・という導入。あれ?いつの間に美術品を扱うようになったのだ?という疑問はさらっと状況説明的な文章で流される(のだが、森作品で美術品といったらアレでしょう、アレ)。で、そのつもりで読んでいると、なるほどやっぱりという展開になっていくという、ファンサービス的なストーリーとして構成されているようだ。最後のシメがまさにそれ以外の何ものでもないという感じ。

全般に、それほど混みいった事情やら超絶トリックやらは出てこないので、会話文が多いこともあってすらすらと読み進められる。登場人物たちの面白おかしい行動やら会話をクスクス笑いながら楽しみましょうという作品です。逆にこれだけ単体で読んでも、ふーんそれで?、ということになりそうだ。

ムカシ×ムカシ REMINISCENCE (講談社文庫)


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読了:江戸しぐさの正体~教育をむしばむ偽りの伝統, 原田実 [読書日記]

* 江戸しぐさの正体~教育をむしばむ偽りの伝統, 原田実, 講談社, 9784061385559

「江戸しぐさ」という道徳教材があるという。なんでも江戸時代の商人が励行していた、現代人が学ぶべき行動原理らしい。近年になってそれが義務教育の道徳教材に掲載されるようになったのだが、実はそれは戦後の創作物であって歴史的にみると何の意味もない話、という本である。

一部ニュースサイトなどで何度か話題になっていて、そういうものもあるのだね程度の認識だったのだが、どうも元の「江戸しぐさ」自体がだいぶオカルトめいた内容らしいということを聞きかじり、ちょっと面白そう(ネタとして)ということで読んでみた、というところ。

いや、なかなかの一刀両断ぶり。原田氏がばっさばっさと切って捨てている元の「江戸しぐさ」啓蒙本を読んでいないので単眼的になってしまうが、オカルト的なものというか、よくこんな適当な歴史描写をだれも突っ込まずに教科書に載せたなぁ、というのがいつわらざる感想である。渡し船の座席や、喫煙注意のマナーなど、近世歴史にたいして詳しくない自分でも完全に笑ってしまう内容。「東海道中膝栗毛」くらいは学生時代に拾い読みしましたのでね(笑)。

これは原田氏も繰り返しているが、元々「江戸しぐさ」啓蒙にあたって、単に現代マナーとして広報活動すればよかったのであって、あたかも古き良き江戸時代にそれが事実として存在していたかのように説明・捏造したのがまずかったのだ。どうも似非科学を流布している連中と根っこは同じ気がしている。
こういうのを読んでしまうと、そもそも「古き良き時代」って本当なんだろうかというのも疑問だ。都市伝説的に語られる「今時の若者は~」は軟百年も前からずっと言われ続けているのだ、と同じように、「昔は良かった」も実は昔からずっと言われ続けているだけなのかも知れない。

江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統 (星海社新書)


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読了:神の値段, 一色さゆり [読書日記]

* 神の値段, 一色さゆり, 宝島社, 9784800264893

現代美術業界が舞台のミステリ、というより殆どサスペンス小説である。第14回「このミス」大賞受賞。

いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの覆面・現代芸術家、その作品を専門に扱う画廊、その画廊のやり手の女性経営者が謎の死を遂げるところから物語が転がり出す。語り手は画廊で働く女性アシスタント。美術界、とくに現代美術の業界の色々なトピックス(というより特異な慣習か?)をとりまぜながら、なかなかテンポよくストーリーは進んでいく。そして最後にえええぇっというどんでん返しが読者を待っているのだ。

読了して、確かにどんでん返しの部分もあって、ミステリ的な要素もなくはないのだが、やはりこれは美術業界サスペンス小説であろう。
現代美術業界というどうやら世間の常識から相当はずれている世界の内実をネタにしつつ、やたらめったら高額な取引のシーンや業界用語の多用で読者をけむに巻き、そしてジェットコースター的なストーリーが展開される。読者は話の流れに身を任せましょうという趣向。
そうですね、舞台もいろいろで、派手な画も色々つくれそうなので、映画の原作などによさそうです。

個人的にはどんでん返しのシーンは、ちょっといろいろ気になった。特に、それまで警察が○○からの○○のせいで○○できない状況で・・・という前提が語られていたにも関わらず、こんな根拠で令状は出ないでしょう?

神の値段 (宝島社文庫)


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読了:データはウソをつく―科学的な社会調査の方法, 谷岡一郎 [読書日記]

* データはウソをつく―科学的な社会調査の方法, 谷岡一郎, 筑摩書房, 9784480687593

統計調査のあれやこれやを一刀両断にする快作。
この人の著作を手に取るのは2冊目。

前作「「社会調査」のウソ」は、マスコミ、政治家、行政当局、社会活動家へ、実名を挙げての結構過激な物言いが列挙されているものであったが、本作は、それらを下敷きにしつつ、もう少し丸めて書いてあるということのようだ。書籍の目的が、警鐘を鳴らすというよりは、学生・生徒向けに正しい方法論を示そうというところにあるように読める。

そうはいっても筆の鋭さはそのままで、読んでいて楽しい。
統計値を恣意的に捻じ曲げて解釈しようとする者、あやしげなアンケートをもとに怪しげな結論を導くやから、などなどをばっちりとやり玉に挙げ、どこが適正でないのか、どうすれば適正な(こういう突込みを受けないですむような)統計調査ができるのか、をいちいち具体的な事例(このあたりが類書とは一線を画すところか)をあげながらわかりやすくこれを説く。

情報リテラシーに関しては、いまどきは中学高校でも授業の一環として行われているようなので、リテラシの低いへたな大人より学生生徒のほうが間違ったことをしでかす可能性は低いのかもしれない。そうはいっても、今もこのような手引書は有用に思う。少なくとも社会や他者に何か物申すつもりの者は、え~統計って何?なんていうのは許されないのではないか。

データはウソをつく―科学的な社会調査の方法 (ちくまプリマー新書)


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