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読了:猫は毒殺に関与しない: 猫探偵 正太郎の冒険5, 柴田よしき [読書日記]

* 猫は毒殺に関与しない: 猫探偵 正太郎の冒険5, 柴田よしき, 光文社, 9784334773779

柴田よしきの猫探偵正太郎シリーズ第5弾。短編3編を収録。
第4弾を読んだのはだいぶ昔なので、もうだいぶ懐かしい感じである。見かけて即購入。

開いてまずパッと見で、行間がやたら広くて間延びしているのが気になった。
最初メタ的ななにかをねらった効果なのかと思ったが、最後まで同じピッチだったので単にページ数の都合のようなものと思われる。

1本目は表題作でもある「猫は毒殺には関与しない」。なかなか正太郎が登場しないなぁと思って読み進めていたら、えぇ~という結末、というか正太郎の登場。個人的にはちょっとううぅーんという感じがした。

2本目は飛ばして、3本目。のっけから正太郎くんが登場してます。これですよこれ。猫視点と飼い主(同居人)視点が交互に描かれていき、そして最後には、、、という話。ちょっとありがちな展開かなとも思いましたが、正太郎くんの活躍と独白が面白くて楽しめました。やっぱり猫探偵シリーズはこういう感じが良いですね。個人的にはこの3本目だけでよかったかも。全体の分量的にもやや物足りない感じがしました。

猫は毒殺に関与しない: 猫探偵 正太郎の冒険 5 (光文社文庫)


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読了:失敗学のすすめ, 畑村洋太郎 [読書日記]

* 失敗学のすすめ, 畑村洋太郎, 講談社, 9784062747592

タイトル通りの本である。類似の名称の書籍は多数あるが、2000年刊行の本書はその嚆矢といえる。
人は必ず失敗をする、その経験を個人、組織、社会が次に生かすためにはどうすればよいか、これをまとめて「失敗学」として解説するもの。
数年前に芳賀繁氏の類似著作を読んでいるが、前後関係が逆なのにこれを読んでから気が付いた。

タイトルと目次をぱっと見て、過去の人類の失敗の具体例をあげているのかと思ったが、本書の主題はそれではなかった。
確かにタコマ・ナロウズやリバティ船、コメット号の話はでてくるが、さわりのみ。あくまで、そのような事例をもとに、どういう考え方なり仕掛けなりを使うことによって、失敗事例を知識化していけるか、というところに主眼が置かれている。まずは読み物として一気に通読して、失敗に対してのあるべき考え方を俯瞰した上で、読者自身のアクションに変えていきなさいということのようである。

ちなみに具体的な失敗事例というのは、著者も関係しているwebサイトに集積されているようだ。「失敗知識データベース」などのキーワードで引けば見つかるので、本書と合わせて参照すると良さそうだ。

失敗学のすすめ (講談社文庫)


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読了:だれがコマドリを殺したのか? (Who Killed Cock Robin?), イーデン・フィルポッツ [読書日記]

* だれがコマドリを殺したのか? (Who Killed Cock Robin?), イーデン・フィルポッツ, 武藤崇恵, 東京創元社, 9784488111052

1920年代の古典ミステリ。創元の新訳版が出ていたのを入手して、1年ほど積読になっていたもの。
フィルポッツは「赤毛のレドメイン家」以来である。

ものがたりの大きな流れは、複数の男女のからんだややこしいいくつもの三角関係のもつれのあげく、愛称が「コマドリ」という若い女性が死んでしまう。これは他殺なのか、そうだとして誰が殺したのか、という話である。登場人物は、いわゆる上流階級の家族たちと、そこにからむロンドンで働く開業医の主人公、そしてその友人たる私立探偵。一組の男女のふとした出会いが、二人と周りの面々の運命を大きく変えていくさまを描くのだ。

執筆が古い時代のせいか、登場人物の独白や会話文、地の文やナレーション的な説明がそれなりに交じって書かれていて、今の時代に読むと謎解き物語というよりはややサスペンス調。読み方によっては、映画の原作もののような雰囲気でもある。
といっても、終盤ちかくなって明らかになる超大技トリックは(有名なものだが)驚きをもって読める。まぁいじわるな読み方をすると、記述の厳密性には欠けるけれども、これも古い時代のものなので。

それから、イングランドの保養地や、南フランスの避寒地が主な舞台になっているのは、英国読者向けのポイントなのであろう。ちょっと高級リゾートに旅行したような気分にもなれる。

かなり楽しい読書体験でした。

だれがコマドリを殺したのか? (創元推理文庫)


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読了:カエアンの聖衣 (The Garments of Caean), バリントン・J・ベイリー [読書日記]

* カエアンの聖衣 (The Garments of Caean), バリントン・J・ベイリー, 大森望, 早川書房, 9784150120597

ベイリーの古典SFの新訳版文庫である。ベイリー作品は、『時間衝突』『ゼン・ガン』に続き3作目の読了。2016/4に買ってからいままで積読になっていた。

のっけからもうすごい展開。舞台は異様な進化を遂げた生物たちが闊歩するとある辺境惑星。地上に墜落している宇宙貨物船を見つけ、これに積載されていたあるものを略奪するために惑星と降り立つ主人公が見たものは…。
と、ここで舞台が暗転、自在に宇宙空間を飛び回るこれまた特殊な状況の男女二人。何をしてるのかと思えば…、とここでまた視点が変わる。なんだこれはなんだこれはと思っているうちに読者は見事に著者の術中にハマると言う寸法である。

謎めいたアイテムを中心に物語は着々と進んでいき、薄々と感じていた仮説は終盤近くなってついに…と。いやもう全編センスオブワンダーって感じです。

帯紙にあるアニメ(本作から影響をうけたとの由)はよく知らないのですが、まぁぶっ飛んだSF的設定をよくここまで描き切ったなとも思う。一度は読んでおくSFなのでは。



カエアンの聖衣〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)


読了:さよならの手口, 若竹七海 [読書日記]

* さよならの手口, 若竹七海, 文藝春秋, 9784167902209

若竹七海の女探偵・葉村晶シリーズの長編。前作から10年以上たっての発表で、主人公も相応に歳を重ね、世の中もリアルに2014年を迎えている、という設定になっている。

例によって、有能だが不運な女探偵によるハードボイルドなお話である。冒頭、あれあれ今回は探偵じゃないのかと思わせておいて、バッチリ事件に首を突っ込むことに。ちゃんとお約束で入院もののトラブルである。
そして不思議な縁で失踪人探しを請け負うことになるのだが、これがまた一癖も二癖もある関係者ばかりで…という展開。これまたいろいろな僥倖もあるものの、何かが分かると更に謎が深まっていく。並行して持ち上がるややこしい別件にも振り回されながら、問題の核心に近づいていく。

このシリーズはおおむねそうなのだが、終盤に向けて事実関係が明らかになっていくにつれ、しかしそれは人間の悪意というかとんでもない悪業の暴露に繋がっていく。時代がそうさせた、という見方もあるだろうが、しかしそれにしてもひどい話でフィクションだと知っていても目を背けたくなるくらい。

若竹七海はコージーミステリも得意としていると思うが、それとのギャップも楽しむべきなのかもしれない。個人的には、ちょこちょこ挿入されるミステリ本に関わるマニアックな会話にニヤッとさせられ、巻末のおまけもあってちょっとこれで救われた気もした。


さよならの手口 (文春文庫)


読了:怪しい店, 有栖川有栖 [読書日記]

* 怪しい店, 有栖川有栖, KADOKAWA, 9784041049600

推理作家・有栖川有栖シリーズの短編集である。5編を収録。いずれも2014年に発表された作品である。発表形態がまちまちのせいか、100ページほどの中編から20ページの小編までとりそろえましたという様子だ。

一編を除き、今回も火村先生の名推理が冴え渡る。絡まり合った謎の糸を一気にバッサリとする快感に酔いしれるが良い!などとと思って楽しむのが吉であろう。
ちなみに除いた一編は「潮騒理髪店」。これはこれで楽しい小品であるが、名推理バッサリ!ではないということだ。個人的には語り手が火村ではなくアリスの方がほのぼのしたよねとも思う。

ミステリとしては表題作「怪しい店」を抑えて「古物の魔」が好み。中盤の伏線回収でいったん持ち上げておいて落とされたり、いや楽しい。著者ならではの筆力(というより話術?)でもって、読んでいてどんどん話に引き込まれてしまう。登場人物たちの掛け合い漫才のような会話も見どころであります。

それから巻末の解説に東川篤哉が筆を振るっていてこれは大笑い。素晴らしいです。

怪しい店 (角川文庫)


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