So-net無料ブログ作成
検索選択

読了:キウイγは時計仕掛け (KIWI γ IN CLOCKWORK), 森博嗣 [読書日記]

* キウイγは時計仕掛け (KIWI γ IN CLOCKWORK), 森博嗣, 講談社, 9784062935418

森博嗣のGシリーズ第9弾。
今回の舞台は伊豆の某所にある大学キャンパス。建築学会の全国大会が開催されている大学に、いつもの面々が発表や聴講のために偶然集まり、そして・・・という話である。

奇妙なキウィが届けられた夜、学長が射殺されるという事件が勃発。翌朝から開催される学会には、犀川先生に西之園萌絵、国枝先生、、、とオールキャストが一斉に登場。警察関係者により速やかに捜査が開始されるのだが・・・という展開。
個人的には、事件のあれこれや、その背景に流れるあのお方の影、といった部分も楽しんだものの、どちらかというと学会あるあるネタが笑えてしょうがなかった(質疑応答の総括には電車内で吹きそうになった)。もちろん、国枝先生の持ち味それ自体だったり、西之園萌絵が昔の犀川先生発言をよく覚えているぞとか、そういうクスクスも盛り込まれているのだが。とにかく楽しませていただきました。

キウイγは時計仕掛け KIWI γ IN CLOCKWORK (講談社文庫)


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

読了:神様の裏の顔, 藤崎翔 [読書日記]

* 神様の裏の顔, 藤崎翔, 角川書店, 9784041046067

藤崎翔の事実上のデビュー作であり、第34回横溝正史ミステリ大賞の大賞受賞作である。

舞台は、とある教師の通夜の席。生前には清廉潔白な教師であり、利益度外視のアパート経営を続けていたという、神様のような人だったと評される坪井先生の通夜には、多くの人が弔問に訪れ、在りし日の先生の思い出に浸っているのだが…という展開。弔問客の間で交わされる何気ない会話の途中、それぞれの記憶にあった、ちょっとした疑念がどんどん浮上してくるのだ。
…はい、もちろんどんでん返しの結末を期待して読み続けてOK。どうどんでん返しするか、そこのところが藤崎翔の腕の見せ所というわけである。

古典ミステリをよみつけた読者であればあるほど、作者の手の内をきっと転がされるでありましょう。
倒叙ものの醍醐味である「読者だけは知っている」、そして新・本格の時代に花開いた(ですよね?)あの手法、これらを知っている(もしくは頭に染み付いてしまっている)人は特に、読後のヤラレタ感に酔いしれることができるでしょう。
ぜひ楽しんでください、としかもう言いようがありません。

神様の裏の顔 (角川文庫)


読了:クリスマスの朝に-キャンピオン氏の事件簿3- (On Christmas Day in the Morning and other writing) [読書日記]

* クリスマスの朝に-キャンピオン氏の事件簿3- (On Christmas Day in the Morning and other writing), マージェリー・アリンガム, 猪俣美江子, 東京創元社, 9784488210069

アリンガムのキャンピオン氏シリーズの第3弾。中編1本と短編1本という構成。これにクリスティの書いたアリンガム追悼文が付く。

中編「今は亡き豚野郎の事件」は、イングランド東部の寒村を舞台にした、謎が謎を呼ぶストーリー。
他の短編と違い、キャンピオン氏の一人称で語られるので、ちょっと雰囲気が変わっている。読み始めてすぐに、これがトリックの一翼なんだきっとそうだ、と思い込んでずっと読んでいたら(クリスティの追悼文が控えているというのも影響ありや?)、どうやら最後の最後でこの会話を言わせるための仕掛けだったらしく、違う意味で椅子からずり落ちそうになった。これはこれでキャンピオンものの味だということでしょう。

個人的には表題作ともなっている「クリスマスの朝に」のほうが好み。キャンピオン氏がやむをえず暴き出すある事実関係は、今の時代にも通じるかもしれない物悲しいいきさつなのだが、しかしものがたりの結末にはちゃんとクリスマスらしい救いのある話になっているのだ。人殺しの話ではなく、こっちを書きたかったんですよね、アリンガムはきっと。


クリスマスの朝に (キャンピオン氏の事件簿3) (創元推理文庫)


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

読了:悪いうさぎ, 若竹七海 [読書日記]

* 悪いうさぎ, 若竹七海, 文藝春秋, 9784167679163

女探偵:葉村晶シリーズの初長編である。
帯紙は「仕事はできるが 不運すぎる 女探偵葉村晶」なる文言。

冒頭、家出した女子高生を連れ戻すという依頼の対応中、いきなりハードボイルド調全開である(いやこの展開は女性でないと書けないかも)。
さらに行方不明になった別の少女の捜索を始めると、そのまわりは不可解な状況だらけ。探偵をとりまく状況は極めて流動的、そして謎は謎を呼び・・・という話の流れで最後まで突っ走るのである。

終盤で明らかになる謎の解決は、しかしかなりひどい暗鬱といえる展開。読み進めつつ、いくらなんでもそこまで変態的なことは現実には起きないんじゃないかなどと思いながら、全盛期の宮部みゆきならこの事件(?)をどう描くだろうなんて考えている自分がいる、そんな話の展開です。
読了してあらためて表紙絵を見るわけだが、このタイトルでこの表紙で、この展開はないんじゃない?と言いたくなった。
誰が読んだとしても、すくなくともエンタメ小説ではないですよね、これ。張り巡らされた伏線がおぉっとそうきたか!というような謎解き話でもない。勧善懲悪なスカッとする話でもない。たぶん最初からそのつもりで読むのが吉でありましょう。

悪いうさぎ (文春文庫)


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

読了:リーン・スタートアップ (The Lean Startup), エリック・リース [読書日記]

* リーン・スタートアップ (The Lean Startup), エリック・リース, 井口耕二, 日経BP社, 9784822248970

表題通りのビジネス本である。2012年の翻訳(原書は2011年出版)と、題材からするとちょっと古いかもしれない。

なかなか日本でこのタイトル通りの起業をしようという者も少ないかもしれないが、読了してみて、いろんな意味で考え方の参考にするには読んでおくとよい内容のように思えた。

いわゆるシリコンバレー的なスタートアップ企業を回していくにあたって陥りやすい話や、それをどう克服するのがよさそうか、といった教訓が書かれているのが主たる内容。そう、この著者もみずからその教訓を学んだのだ、という話が随所に出てくる。これが実例を多用していて、何がどうなったのかが非常にわかりやすい。多少米国に依存した話(例えばQuickenは日本では使用されないと思う)もあるにはあるが、いちいち概念説明はあるのでそれほど苦にはならないだろう。
個人的には、MVPの話とかピボットの話は、読んでいてなんとなくイメージが共有できた気がするのだが、革新会計のあたりがどうも腑に落ちなかった。全体に翻訳は別に悪くない気がするので、自分になにか前提知識が不足していたのだろう。

それから、「オービタル・クラウド」(和製SFです)を直前に読んでいたのもだいぶ影響しているかもしれないが、MITメディアラボの伊藤所長の解説がいちばん腹にストンと来た。この解説を読むためだけでも、本書を手に取ってみる価値はあるのではないか。

リーン・スタートアップ


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
メッセージを送る