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読了:赤目姫の潮解 (LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE), 森博嗣 [読書日記]

* 赤目姫の潮解 (LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE), 森博嗣, 講談社, 9784062934435

森博嗣の「百年シリーズ」の第3作にして最終作。
これまで新潮文庫だったのだがこれは角川に変わっている。

百年シリーズ、特に1作目の「女王の百年密室」(2004)は、現実とあるていど繋がりを見いだせる近未来の世界を舞台にしているバリバリのSFで、ウォーカロンという技術的にみて興味深い存在が登場し、これが物語が進むにつれて意外に重要な役回りを与えられている、というあたりに結構のめり込んだ。しかし第2作、第3作と進むにつれて、この味付けはだんだんなくなっていったようだ。もちろん執筆時期が時間的に離れているのも影響しているのかもしれない。

さて本作、その第3作なのだが、あたかも幻想小説を読んでいるようで、まぁ予備知識なしに普通に読んだらこれが百年シリーズの続きだとはなかなか読み取るのは難しい。並行して執筆が進んでいるWシリーズのほうが直系の末裔なのでは?という感じである。解説氏はいろいろと解釈を試みているし、いわゆる書評でも評価は高いようだが、正直なところ、森先生飛ばし過ぎで普通の読者はついていくのが難しいです、というのが個人的感想。

これでも森作品は「すべてがFになる」の新書版からこっち、おおむね継続的に読み続けているので傾向と対策はあるていど分かっているつもりだったのですが。。。

赤目姫の潮解 LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE (講談社文庫)


読了:獏鸚-名探偵帆村荘六の事件簿-, 海野十三 [読書日記]

* 獏鸚-名探偵帆村荘六の事件簿-, 海野十三, 東京創元社, 9784488446116

戦前に書かれた日本の科学ミステリの古典。1930年代の短編作品10編を集めたもの。

多くの作品には名探偵「帆村荘六」氏が登場する。この人と警察組織の協力関係の描写が、今の読者にとってはかなり謎な設定に思えるのだが、とにかく古典ということで気にしないことにする。そもそも探偵の名前も「シャーロック・ホームズ」をもじったものらしい。

さて本編は科学ミステリと銘打つわけであるが、そのあたりに過度に期待してはいけない。なにしろ戦前の話、科学なのかオカルトなのかあやしい話もチラホラ。単なる怪奇趣味的な話も含まれているし、おそらく当時は「科学」の意味するところの範疇が今より広かったのかもしれない。
探偵の推理のステップが神がかっているような気がするのも、まぁ時代的なものかもしれないと思うことにする。(いわゆる本格推理小説のつもりで読むとあれっと思うかもしれない。)

収録柵の中では、個人的に「振動魔」はなかなかの出来、と思う。トリック(?)の実現性はまぁおいておくとして、とにかく意表を突く展開、本作はこれにつきる。他の作品のストーリーがどちらかというと淡々としている中で異色であり、また、科学とは、という根本的な問いかけも投げかけているような気もするのだ。


獏鸚 (名探偵帆村荘六の事件簿) (創元推理文庫)


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