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読了:マインドフルネス (Mindfulness), バンテ・H・グナラタナ [読書日記]

* マインドフルネス (Mindfulness), バンテ・H・グナラタナ, 出村佳子, サンガ, 9784905425205

「瞑想」の本。
とある技術系講演会で触れられていたので興味を持って入手。

内容はなかなか難しい。「禅」とはちょっと異なる座禅(?)と瞑想と気づきについて、普通の在家の人(本書の想定対象は西洋人ですが)に実施できるように、初歩的なところを指南する本、という形である。が、当方の勉強不足で、読了するまで禅と感覚が違うなぁという違和感を抱えたまま読み進めたのがまずかったのか、あまりうまく腹に落ちなかったというのが正直なところ。
そんなに簡単に理解できるわけはないのは当然なのだろうが、ここまで頭に入らないとは想像していなかったので残念というより落胆している。哲学も難しいが、宗教、というより心理学だろうか、これもまたたいへんに難しいということを実感した読書体験だった。


マインドフルネス


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読了:ローカル線で行こう!, 真保裕一 [読書日記]

* ローカル線で行こう!, 真保裕一, 講談社, 9784062933926

赤字ローカル鉄道を再生しようと、カリスマ新幹線車内販売員の女性が社長に抜擢されて活躍するというお話。
帯紙には「読めば元気が出てくる痛快鉄道再生ミステリ」、裏表紙には「お金がないなら知恵を出すのよ!」などと刺激的な文言が並ぶ。
書店に平積みになっているのが目について読了。真保作品は初読。

結論から言ってしまうと、この文庫で500ページ超という分量の割には、かなりいまいちです。

この売り文句と表紙絵から考えると、鉄道ネタに詳しい読者、経営再建や地方再生に興味のある読者、といったところを対象に書かれたものなのだと想像するのだが、その分野の詰めが妙に甘くて読んでいて引っかかるのが難点。

鉄道の話では、どうも話し言葉が付け焼刃知識的な感がぬぐえない。もっとも引っかかったのは、地元に昔から住んでいると思われる町長や社長祖母の「電車通勤」「終電」などという謎の言葉。この路線は第三セクター化される前から、非電化(ディーゼル車による運行で、電車は走らない)であるという設定のはずなのだが、いずれも学齢期を都会で過ごしたとでもいうのだろうか?(ちなみにこういう路線沿線の方は、首都圏などに住むものが「終電」と呼ぶ概念を、ふつう「終列車」「最終」などと呼称すると思います。)

経営的な話では、ごく初歩的なおかしな計算式でもって一気に萎えた。
必要な車両改装費が200万円、期待できる「売上」が一列車あたり20万円、10回の運行で「投入資金の回収が見込める」、「初年度のみ初期投資で次々の黒字が計上できる」って。(笑
冒頭あたりで、「彼女にバランスシートが読めますか?キャッシュフローの正確な意味すら知っているかどうか怪しい」とまで言わせておいて、この計算ですかという感じで、何かの冗談なのかと思った。

行政がらみでは、個人情報保護法のきわめて典型的な初歩的誤り(目的外利用)を、県とはいえ幹部職員として採用されているような者がスルーするのはあまりにもおかしくて吹いてしまった。聞かれたほうの会社の対応も、そんなのを「東京本社の許可が必要」なんて答えてないで、駄目にきまっているではないですか。

もちろん、地道な経営改善のアイデアだしや、行政や融資元など含めたステークホルダとの交渉ごと、経営改善の方向ではあるもののまだまだ目標までは遠い、など、全体としてはあるていど現実的にリアリティのあるストーリー展開は読んでいてなかなか面白い。しかしそうであるからこそ、こういった枝葉末節な致命的誤りがちょこちょこみられるのはちょっとまずい気がする。最初からファンタジーやおふざけ小説なら問題ないのでしょうが、ちょっと色々な意味でチェックが甘かったのでしょう。残念。

ローカル線で行こう! (講談社文庫)


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読了:風は青海を渡るのか? (The Wind Across Qinghai Lake?), 森博嗣 [読書日記]

* 風は青海を渡るのか? (The Wind Across Qinghai Lake?), 森博嗣, 講談社, 9784062940368

森博嗣のWシリーズ第3弾である。
たぶんそんな人はこれを買わないと思うが、第1弾と第2弾を読んでからでないと(もっというとS&Mシリーズと百年シリーズも読んでから)、話についていくのが苦しいはず。

前作の第2弾で明らかになったチベットに眠る遺産を調査するという名目で、メインキャラクタの面々が再度チベットを訪れるという発端である。現地にてちょっと変わった「研究者」と交流があり、ちゃくちゃくと追加されていく事実と、遺されている現物を解析しての断片的な情報。さらにエスノグラフィ的な調査を敢行したところ、なんとそこで・・・といった感じで、落ち着かない流れの話になっているような気がする。
いくつかの謎は本作で回収されていくが、それより多くの謎が積み上げられているわけだ。
描かれている技術と、それに依存している社会の描写は、個人的にはだいぶ興味深いので、第4段第5弾と読み進めるしかないなという感じ。
しかたないですね。

風は青海を渡るのか? The Wind Across Qinghai Lake? (講談社タイガ)


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読了:誤解だらけの電力問題, 竹内純子 [読書日記]

* 誤解だらけの電力問題, 竹内純子, ウェッジ, 9784863101258

電力業界と再生可能エネルギーと原子力発電についての話である。
著者の竹内氏は、肩書などを見る限り、電力というよりは環境とかCO2まわりで活躍されている方のようである。
2014年の著作。

さて中身だが、おおむね3部構成であって、そもそも日本がエネルギー源をどうやって確保するかの定量的な話、発送電にかかわる技術的な縛りの話(このあたりは電気主任技術者あたりなら常識な話が多い)、そして地球温暖化の話である。さらに最後に補遺として、電力会社の「体質」についての話がある。

話の根底には、日本を経済的に環境的につぶさない、地球を環境的につぶさないためには、再生可能エネルギーと化石燃料火力発電に頼る現状では早晩限界が来る、というのを淡々と定量的につきつける、という流れがある。とにかく原子力発電はダメ~!な論客にとっては、かなり「不都合な真実」であろう数値が出典付きで提示されるのだ。
どうも著者は原子力技術そのもの自体は専門ではないようで、現実論として直近で選択できるエネルギー源として原子力を推してはいるものの、そのあたりのロジックは(温暖化やエネルギー源調達問題などに比べると)読んでいて少々記述があいまいな気もする。とはいえ、あげている数値などについてはこれも出典があるので、なにかで参照したいときのインデックスとしては便利であろう。(その意味では巻末参考文献リストがいまいち充実していないのは残念。)

個人的には、補遺の部分が意外に興味深いものであった。いわく、電力会社社員の「供給本能」。入社数年で刷り込まれるという。現場からトップまで停電を極度に恐れ、一瞬でも供給が止まることのないよう細心の注意を払う。そのためには多少の非効率性も許容、休日だろうと深夜だろうといざとなれば・・・、と。

いや、インフラ会社の神髄を垣間見た気がしました。たしかNTTやJRなどに絡む話で、この手の話は聞いたことがないわけではないのだが、これほどなのかというところには感服であります。本書の本来の狙いはここではないのかもという気もしつつ、でも、他の類書にはない本書のポイントはやはりここなのかも。

誤解だらけの電力問題


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読了:無花果の実のなるころに ―お蔦さんの神楽坂日記―, 西條奈加 [読書日記]

* 無花果の実のなるころに ―お蔦さんの神楽坂日記―, 西條奈加, 東京創元社, 9784488430115

短編連作ミステリである。西條作品は初読。
吉川英治文学新人賞を受賞したとの帯紙が躍るのを書店店頭で見て購入。

語り手の中学3年生の僕と、同居人の祖母、お蔦さんは、二人が住まう東京は神楽坂界隈で起きるあれやこれやの事件を、ばっさばっさと解決するのだ、という話。表紙絵はだいぶほのぼのした雰囲気を醸し出しているのでいわゆる日常の謎系のミステリ連作集なのかと思いきや、どの短編も案外シビアな犯罪がからむストーリー展開でちょっと驚いたというのが本音だ。

お話自体は、基本的に上記の二人の日常を発端としており、そこから近所の面々やら、かつてお蔦さんと交友があった人々やらが事件に巻き込まれ、それを見かねたお蔦さんが・・・そして事件はめでたく解決し、というのがメイン。副菜的なネタとして、「僕」が腕を振るう旨そうな料理の数々や、中3にありがちな色恋沙汰、お蔦さんのやたらめったら広い過去の交友関係、などなどがそれなりに厚く描かれる。

一読しての感想だが、登場人物のキャラクタ描写に対して事件の中身が重すぎる気がしたのと、その割には(連作短編という縛りはあるにしても)サブの登場人物がずいぶん固定化しているとか、状況の展開がだいぶご都合主義であったりとか、ミステリをミステリとして楽しもうという読者にはちょっと物足りなさを感じさせるような気がする。
一方で、人情話もからめたストーリー展開はなかなか面白く、読んでいてニヤニヤしてしまうだけでなく、数回は吹き出しそうになった。読者を楽しませるストーリーテラーとしてはかなりの腕と見た。
なので、重たい話もあるとはいえ、ミステリだよと肩ひじ張らずに楽しんで読むのが良いのかもです。

もとい、サッカーボールって小学生と中学生でボールの径が違っていて、互いになかなか足元の取り回しに苦労するのですよ。そこはちょっと気になりました。

無花果の実のなるころに (お蔦さんの神楽坂日記) (創元推理文庫)


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