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読了:論理爆弾, 有栖川有栖 [読書日記]

* 論理爆弾, 有栖川有栖, 講談社, 9784062931762

有栖川の「探偵ソラ」シリーズの第3弾である。
今回はまたまた舞台を移し、九州の山奥の落人伝説があるという村へと「ソラ」はやってくる。
少々閉鎖的な村人像、なにやら謎めいた雰囲気の元・庄屋という屋敷、そのような状況下で調査活動を始める「ソラ」だったが、しかし事故でトンネルを失った村は孤立してしまい、おりしも謎の死体消失事件(?)が勃発、さらに・・・という展開で連続殺人事件が描かれるのだ。
山向こうの隣町で同時進行するテロ事件が微妙に話の展開に絡んで、この物語の舞台が現実の日本とはパラレルワールド的な異なる状態であることを思い出させ続けるのも進行上のポイントの一つか。

内容ですが(前2作から考えてそう思ってはいけないのだが)、本格ミステリだと思って読んではいけない。
本作はあくまでミステリの体裁なのですが、まぁ終盤などだいぶ掟破りな感じなので、これが名作なのか駄作なのかはもう少し後の時代の評価を待たなくてはいけないかもしれない、という気がする。

全般的には、面白いトリックを思いついたので書いてみました、というよりは、主人公たる「ソラ」の成長するさまを描くうえで事件が必要だったのでだいぶ奇抜なストーリだけれど書いてみました、という印象を受けた。こういう大長編前提的な構成は、好き嫌いが分かれるかもしれない。
とりあえずシリーズ完結するまで読んでみようか、というところでしょう。

論理爆弾 (講談社文庫)


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読了:デザインマネジメント, 田子學 [読書日記]

* デザインマネジメント, 田子學, 日経BP社, 9784822276294

デザインマネジメントの考え方によって、「デザイン」は意匠にとどまらずプロジェクト全体を俯瞰する手段へ昇華すべし、といった取組みに関する(いわゆる)ビジネス本である。
個人的にそもそも工業デザインに興味があり(DAノーマン本など)、また、最近ちまたでちょくちょく目にする「デザイン・シンキング」的な考え方も面白いなと思っていたため(ちなみにIDEO本も数冊読了済み)、ほぼ表紙だけ見て購入したもの。

この本は、しかしその何れでもない。
もともと著者の田子氏は工業デザイナーを生業としており、しかしそれに飽き足らず(というより時代の要請によって?)、より高い観点からプロジェクト(主に、いわゆる新製品プロジェクト)全体をデザイン(繰り返すが意匠のことではない)するような取り組みをされており、その考え方、取り組みの具体例や成果について書かれた内容になっている。

読了しての感想だが、著者と立ち位置(もともと工業デザイナー)が異なる読者にとっては、趣旨には賛同するところであるし、この考え方自体が大事なこともわかるが、主体的に自分がどうこうという意識として受け入れづらいような気がする。受け入れ可能な意識としては、例えば、自分が当事者として、新製品プロジェクトを立ち上げようという際に、さて田子氏のような人材をどういうスタンスで受け入れれば最大成果を得られるか、について予め理解できていること、といったところだろうか。

一方で、巻末に近い第5章では一般化に向けたと思われる解説が試みられており、ここは背景事情の異なる読者にとっても比較的適用可能な方法論となっているように読める。ただ、その分、全般に尖鋭な雰囲気が読み取れる本書の中で、やや浮いて見える気がするのはちょっと残念。

結局、こんなことをいうのも少々しゃくだが、著者の示そうとしている高い意識に自分が追いつけていないだけのかもしれない。第1章と第5章だけでも、もう一度時間をかけて読み込んでみましょうか。

デザインマネジメント


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読了:神様ゲーム, 麻耶雄嵩 [読書日記]

* 神様ゲーム, 麻耶雄嵩, 講談社, 9784062930819

麻耶雄嵩の2005年の中編作品。いきつけの本屋に平積みになっていたのを購入。
「神様」シリーズの第1弾だという帯紙。そんなシリーズあったっけ?そもそも麻耶は超寡作で・・・と思ったが、帯紙に大々的に書かれている、この事件の恐るべき真相をあなたは正しく理解できるか?綾辻行人、などと書かれていてはつい手が伸びるというものだ。

本作の語り手は「ぼく」こと10歳の芳雄くん。クラスの仲間と結成した探偵団に属している。市内で起きている連続猫殺し事件を仲間と追うことになり、、、という導入。あーんジュヴナイルの類か?と思わせておいて、ここで隠し玉「鈴木くん」が登場。なんと鈴木くんは全知全能の神様だというのだ。このあたりからいわゆる推理小説のお約束からは逸脱し始めるが、ジュヴナイル調のお話がゆるやかにそれを包み込んでしまう。
そして終盤。これは決してジュヴナイルではない!と言い切ってよいエグイ描写を経て、事件は最終段階へ。「ぼく」はついに一つの結論に達し、、、えっ。え~。・・・(考え中)・・・えぇぇぇぇ~??!?

そうきたか。綾辻行人の帯紙の言葉、効いてます。

神様ゲーム (講談社文庫)


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読了:禁断の魔術, 東野圭吾 [読書日記]

* 禁断の魔術, 東野圭吾, 文藝春秋, 9784167903770

東野圭吾のガリレオシリーズ長編である。
最近の東野作品はちょっとエンタメに振り過ぎとか、映像化を意識した舞台設定に傾倒してないかとか、そういうところが読みながらとても気になってしまう。本作も冒頭から読み進めていくと、はしばしにそのような兆候が見えるような気がして、あ~と思いながら読んでいたのだが、終盤に向けて雰囲気ががらりと変わる(ような気がする)。

いくつかの関連性がないと思われていた事件、複数の糸が結果的に絡み合っていたことが警視庁の捜査の進展に従って判明していき・・・という流れは順当。今回はそこに関与する湯川先生の立ち位置も微妙なのだが、ともかく全編を通じて、もともとガリレオシリーズが持っていたオカルト科学めいた話は裏方に回り、きわめて現実的な工学、というより、工業の話が前面に出てくるのだ。終盤に近づいてのちょっとした活劇調な見せ場シーンはいまひとつな感じもしたが、個人的には最後数ページの描写に感激。(いや、こういう話に弱いのですよ。)

うん、このオッサン、さすがの人物。世の中なかなかこういう傑物はいない。
フィクションだとわかって読んでいても、ちょっと我が身を振り返り考えさせられるエピソードでした。
そして読み終えて、カバー絵を見直してなるほどねと思う。編集者もいい仕事してます。

禁断の魔術 (文春文庫)


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