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読了:侍女の物語 (The Handmaids Tale), マーガレット・アトウッド [読書日記]

* 侍女の物語 (The Handmaids Tale), マーガレット・アトウッド, 斎藤英治, 早川書房, 9784151200113

ディストピア小説である。部分的に直接的な描写方法も含め、内容はかなり「エグい」と言えるだろう。

語り手であり、かつ登場人物である「わたし」。自身の自由(というより基本的人権か)を奪われた状態におかれているらしいことが、冒頭読み始めるとすぐにわかってくる。どうやら文明化された国や地域で暮らすものには、現時点でちょっと考えられない事態。特定層に対する思想矯正、拷問の恐怖、情報統制、密告の奨励、個人の自律性の剥奪、もしくは教育を与えないまま世代交代を図るなど、これでもかというほどの歴史上人類が活用してきた手法が繰り出されていく。

読んでいて陰鬱になることこの上ないのだが、しかしページを操る手を止められない。ものがたりの作りは情報小出しにしながら進展していくパターンで、ややまどろっこしいという感もあるが、結局のところ読み進めるにつれ読者は着実にこの世界観に絡め取られていくのである。

なかなかちょっと絶妙な翻訳に助けられているところもある。通しで読んでいて、翻訳が難しそうな原文が想像できる部分があるのだが、まぁ余計なことを考えないで素直に読んだほうがよさそうだ。

ラストシーンをどう解釈するかは難しい。読み終えて、この絶望感溢れる社会描写をついつい現実の2017年の世界情勢に投影したくなる。しかしそれはsci-fiに対して野暮というものでしょう。オーウェル「1984」がまた売れているなどというニュースも見かけるが、それはそれ。

侍女の物語 (ハヤカワepi文庫)


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