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読了:赤い月、廃駅の上に 有栖川有栖 [読書日記]

赤い月、廃駅の上に, 有栖川有栖, 角川書店, 9784041004821

有栖川による怪奇短編小説集(といってよいだろう)。本格ミステリの雄の片鱗も見られない作品群が収録されているもの。

冒頭の「夢の国行き列車」、なんとなく読んだことがある作品な気がするがそれはおいておくとして、唐突に終わる不条理な物語だ。有栖川らしくない展開ともいえるが、その固定観念が逆に意表をついているともいえるか。真実はあくまで闇の中、結末らしきものは語り手の心に浮かんだ単なる妄想だともとれる。純粋なオカルトにしていないところが有栖川たる所以かもしれない。
さて、巻末近くに登場する表題作、これまた夢物語だかなんだか判然としない、謎がいっぱいの物語だ。同様に、実際に何が起きたのかは語られない。あくまで主人公の主観で話は進行するのだ。この種の話を面白いと思うかどうかは読者によるのではないか。

結局のところ読者をかなり選ぶ作品群という気がする。本格ミステリ命の人は読んでも楽しくないかもしれない。一方で有栖川の新境地を試してみたいのなら、手にとって吟味する価値はあるだろう。

あと枝葉末節だが、田舎の自転車旅行で若者が一日30kmという計画は、(経路に峠があるとはいっても)いくらなんでも短すぎる。これでは江戸時代の徒歩旅行なみ。峠は上りもあれば下りもあるわけだし、平地ならクロスバイクで20km/hは普通かと。

赤い月、廃駅の上に (角川文庫)


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コメント 1

英里子

読者の固定観念すら使うとは・・・。

さすがミステリーを牽引してきた有栖川さん・・・?。

>純粋なオカルトにしていないところが有栖川たる所以
これには、はっとしました。
有栖川さん作品の好きなところですね。
最近の有栖川さんですが、『江神二郎の洞察』の短編集が
出ました。
登場人物が魅力的で、楽しく読めました。結構満足です。
そんな魅力的な作品を数多く生み出す有栖川さんの内面を
ひもとく解説がされているサイト、探したら見つかりました。
http://www.birthday-energy.co.jp

才能の持続力が遺憾なく発揮されて、第一線で
がんばってらっしゃいますしね。
だけど、これからは体調にも注意とか。

by 英里子 (2012-11-26 22:28) 

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