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読了:都市交通計画 新谷洋二 [読書日記]

* 都市交通計画, 新谷洋二, 技報堂出版, 4765515338

道路や鉄道を含む都市交通の歴史、分析、計画について述べたもの。教科書的に使われることを想定しているようだ。1993年の執筆で少し古い記述が残る(例えば、既に経営破綻して廃止されてしまった新交通システムが載っているなど)が、教科書的知識を得るには有用だ。

都市交通の歴史を紐解くところから始まり、現代の都市交通の課題抽出、交通量分析手法、道路をはじめとした交通設備設計の実際的方法、などなどを解説してゆく。複数の著者により分担執筆された形になっており、章ごとに多少の重複や表記方法のばらつきがあるが、まあ許容範囲内といえよう。

教科書的と言えば、例えば、各国の道路設計の基準を俯瞰して比較しているあたりや、英国の道路敷設設計(4レベルに分類した道路同士をどうつなぐか)、カルドサックの有効性の分析など、なかなか面白いネタも多く、うんちく的だがなかなか勉強になるのだ。

無味乾燥な統計データの列挙されているページなどもあったりするが、全体的には斜め読みしておくとよいのではと思う。

都市交通計画


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読了:白亜館事件 太田忠司 [読書日記]

* 白亜館事件, 太田忠司, 徳間書店, 419892435X

少年探偵・狩野俊介くんシリーズの第8弾。
このシリーズ、過去の事柄が発端になって、血で血を洗う惨劇が発生・・・という筋書きが多いのだが、発端となる「過去」の時代がどんどんさかのぼっていて、今回はなんと6500万年前の白亜紀だ。もうどうとでもしてという感じ。

白亜紀の地層から掘り出されたという肉食恐竜の化石、それが展示されている閉鎖された館、そこに住まう世間離れした隠者、そこに群がる怪しい親族たち、というわけで、道具立ては揃ったというところで事件が勃発するのだ。例によって、終盤の大どんでん返し的なド派手なメカニズムネタは健在。喫茶店のアキちゃんやら、所轄の高森警部やらも、なかなか活発に動き回っていて楽しい。そして話も大詰めのところで狩野くんの謎解きが・・・、と安心のオーソドックスなつくりといえよう。

後半ちょっと気になったのは、階級社会の警察組織で一介の巡査が警部に反論するところ、あまりに不自然かなと。太田氏は交通課の警官に反感でもあるのだろうか?w

白亜館事件 (徳間文庫)


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読了:ビブリア古書堂の事件手帖2 -栞子さんと謎めく日常 三上延 [読書日記]

* ビブリア古書堂の事件手帖2 -栞子さんと謎めく日常, 三上延, アスキー・メディアワークス, 9784048708241

北鎌倉の古書店を舞台とする(ライトノベル風)ミステリシリーズの第2弾。

今回も主人公たちは鎌倉~大船~藤沢あたりをうろうろしながら、古書にまつわる謎を解いてゆく。前作と違って、探偵役の栞子さんも現場(?)に赴き、ばっさばっさと快刀乱麻を断つのだ(そう、前作では安楽椅子探偵だったのだ)。で、依然として手足となって駆けずり回るワトソン役の「俺」も、いろいろと心境の変化があったりして、そのあたりもちょっとほほえましく楽しめる。

とはいえ、個人的には前作と同じく、鎌倉あたりの風物がじゃんじゃん出てくるのが大きな楽しみの一つ。惜しくも昨夏に閉店してしまった島○書店大船店とか、手広にあるチェーンの新古書店(これ開店したの結構最近だよなー)、鎌倉駅近くの御成小の素敵な校門、北鎌倉駅付近が学区に含まれる市立小学校(読書感想文集の話は聞いたことないけど)、中高一貫女子校の名門・清○女学院とか、もうてんこ盛り状態。

ところでSF好きとして気になる点も一つ。「時計仕掛けのオレンジ」の早川文庫版(1977年版、完全版にあらず)の巻末解説には、最終章のいきさつについて簡単だが説明がある。なので、栞子さんが薀蓄ぽく延々と語るのは、ちょっと気負いすぎているような気もする。

ま、そんな固いこといわずに楽しむべきかも。続編も書かれる予定のようだし、楽しみに待ちましょう。

ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)


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読了:新版 湘南・鎌倉自転車散歩 藤原祥弘/他 [読書日記]

* 新版 湘南・鎌倉自転車散歩, 藤原祥弘/他, 山と渓谷社, 9784635242233

鎌倉、三浦、西湘あたりの自転車散歩コースを紹介したガイド本。一部、やや長めのコースも掲載されているが、多くは走行2時間程度のコース紹介になっていて、途中の寄り道等にそれなりに重点をおいた「自転車散歩」コースガイドになっている。

鎌倉あたりのコース紹介が充実しているのが、地元民としてはありがたい。ときどき、あんな坂道をわざわざ自転車で通るか?みたいな紹介コースもあるが、そこはご愛嬌。立ち寄りスポットとして紹介されている食べ物屋は、どれも超有名店ばかりなのもちょっと気になる。

なお本書の構成として、基本的には鎌倉あたりまで輪行で来て、駅からスタートする前提で書かれているが、そうでない読者も適宜そこまで行けばよいだけなので、十分有用に使えると思われる。とりあえず、近場から順に走ってみますか、というところ。

新版 湘南・鎌倉自転車散歩


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読了:大きな森の小さな密室 小林泰三 [読書日記]

* 大きな森の小さな密室, 小林泰三, 東京創元社, 9784488420116

密室ものやら倒叙ものなど、趣向の異なる短編を一冊にまとめた短編集、初出2001-2007の雑誌発表のものをまとめたもの。

内容ですが、うーんどうかなあ、という感じ。
冒頭の密室ものは、密室のトリックはたいしたことないが、ちょっと叙述ぽい工夫がしてあって、そのあたりを読み解くとそれなりに面白い。が、結局メイントリックがこれ、というのはどうなのか。

続く倒叙もの、安楽椅子探偵もの、などなど微妙にスターシステムを用いながら7編の短編が続く。「自らの伝言」では、某トンデモ似非科学がなにげなく批判的に書かれていたり、「更新世の殺人」では、だいぶ前にかなり問題になった考古学系の不始末の話が出てきたり、ニヤニヤしながら読む部分には事欠かない。「自らの伝言」のトリックは、二階堂の某合作ミステリのネタとかぶるのも気になる(時間的にはこっちが前)。

・・・なのですが、どうもなんというか、どの作品もピリッとしない。読んでいて、おぉっ、と思う事がほとんどないのだ(ミステリなのに)。まぁ、お酒でも飲みながらだらだら読みするにはちょうどよい、ともいえる。飛行機の機内で読むにはよいかもしれない。

この作者は他にも何冊か出しているようだが、、、個人的にはちょっとパス。

大きな森の小さな密室 (創元推理文庫)


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読了:バルーン・タウンの殺人 松尾由美 [読書日記]

近未来の東京、妊婦のみが居住を許される特区「バルーンタウン」を舞台に殺人事件やら密室事件やらが巻き起こる、という設定のSFミステリ短編集。
例によって松尾作品は設定が奇抜だ。この作品は松尾の出世作のようなので、どうやらそのオリジンがここにありそうだ。登場人物がほぼ全員妊婦、というなかなか映像を想像しずらそうな設定。さらに「バルーンタウン」自体がかなり閉鎖的な空間であることもあいまって、素人探偵が活躍する、という話になっている。

いくつかの短編では、謎を解く鍵というかいわゆるトリックに、女性の妊娠や出産にかかわる事象をかなりからめているので、男女を問わずそのあたりの経験者であるかどうかによって、物語に入り込めるかどうか、探偵による謎解きに納得感が得られるか、の差が出そうな気がする。話の合間合間にでてくる小ネタも同様であるので、読んでいて面白みが違ってくるかもしれない。

個人的なお気に入りは「亀腹同盟」。これは別のアンソロジにも収録されていたので実は読了済みなのだが、再読してまたまたクスクス笑わせてもらった。ストーリ自体の納得感も良いし、終盤に入ってからの話のテンポも軽快。コナンドイルの某有名作品(複数)のネタばれになってしまっているところは要注意だが。

バルーン・タウンの殺人 (ハヤカワ文庫 JA (401))

baloon.jpg
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読了:もうダマされないための「科学」講義 菊池誠/他 [読書日記]

* もうダマされないための「科学」講義, 菊池誠/他, 光文社, 9784334036447

3.11以降のマスコミ報道やらネット情報やらを見たうえで、科学的情報リテラシの啓蒙をしようというもの。エッセイ風だが、解説記事のニュアンスでもある。

全体として、科学とは、というより、社会における科学とは、というポリシで書かれているので、(どちらかというと)科学畑にいる人間にとってはちょっと奥歯に物が挟まったような気分になってしまう。が、科学なくして現代社会がないのと同様、社会なくして現代科学は成り立たないのだ。
というわけでこの本は、科学をあまり知らない人、が読むべき狙いではなく(読んでももちろん構わないが)、科学畑の人が社会にかかわる一員として読むべき、という狙いで理解するのが良いと思われる。

その狙い以外にも、ありがちな統計ウソとか、恣意的な(あやしい)論理展開の読み解き方とか、すぐ役立ちそうな解説も多いのがポイント。
個人的には、巻末のトンデモ商売がらみの話が、読み応えがあってなかなか好み。

もうダマされないための「科学」講義 (光文社新書)


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読了:カモメになったペンギン (Our Iceberg is Melting) ジョン・P・コッター [読書日記]

* カモメになったペンギン (Our Iceberg is Melting), ジョン・P・コッター, 藤原和博, ダイヤモンド社, 9784478000342

リーダーシップとは、組織変革とは、といったテーマを、平易に、記憶に留まるように、寓話によって語るものだ。
同じ著者の元ネタ本があるのだが、まずこっちから読んでみて、という位置づけらしい。

中身はというと、一見たんなるペンギンの物語のようでいて、ちゃんとしたリーダシップの教養本になっているところが面白い。翻訳本ならではのぎこちなさはあるが、まあこれも味のうちか。登場するキャラクタ(主に5羽のペンギン)は非常にステレオタイプな描写だが、これもある意味、狙い通りなのだと思われる。さらにいうと、「ヒーロー」イベントがタイミングよく案出されてうまくいくところなど、現実社会での(うまくいった)プロジェクトの典型例で、これまた面白い。(そう、このペンギンの寓話は、うまくいった変革プロジェクトの寓話なのだ。)

イラストもなかなかよいですね。日本版に向けて描かれたものらしいし、9刷というのもうなずける。

カモメになったペンギン


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読了:技術経営の考え方ーーMOTと開発ベンチャーの現場から 出川通 [読書日記]

* 技術経営の考え方ーーMOTと開発ベンチャーの現場から, 出川通, 光文社, 9784334032432

研究や開発のマネジメントについて、特にヴェンチャ的な手法に重点を置いて解説したビジネス本。

著者はかつて(日本の)大企業からスピンアウトして技術開発ヴェンチャを立ち上げた経歴の持ち主で、本書の内容はおおむねその著者体験を元にしたものだ。研究開発における、いわゆる死の谷を越えるにはどういうアプローチが有効か、どういう判断はしてはいけないか、といったところが事細かに解説される。他にも、プロジェクトマネージャはどうあるべきか、とか、大企業病の分析と克服のための処方箋、などなど。

いろいろな話がバラバラと展開されてゆく傾向があって、同も読みづらいぞと思っていたら、後書きで疑問は氷解した。いわく、本書の内容はプレゼン資料などを構成しなおして作り上げたもの、とのこと。それにしてもやはりバラバラ感は気になるのだ。

個人的には第三章「日本の開発ベンチャ」の途中で出てくる戦略語録みたいなのが楽しい。例えば、90%の既存技術+10%の独創技術、なんてのは含蓄がある。

技術経営の考え方 MOTと開発ベンチャーの現場から (光文社新書)


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読了:奇談蒐集家 太田忠司 [読書日記]

* 奇談蒐集家, 太田忠司, 東京創元社, 9784488490096

タイトルどおりのストーリが展開される連作短篇。
太田といえばやはり狩野少年探偵シリーズだが、この作品はだいぶん趣きが違う。舞台はちょっと渋い雰囲気のバーの奥にある個室、自らが体験した「奇談」を披露しにくるゲストたち、それに聞き入る変わり者の紳士、などなど、魅力的な小道具と、披露される奇談自体のストーリ展開とでぐいぐい引っ張ってゆくという作りだ。

なのですが、各話の最後の方で、「奇談」が一気に尻すぼみになる、という展開は、読んでいてちょっとがっくりである。探偵役の物言いがかなり決め付けになっている上、ゲスト側がやるせない雰囲気になるのも悲しげだ。まぁ、この展開を一応の伏線にして、最終話につなげているということなのだろうが。

結局は、ファンタジーというかオカルトが入った話なので、その手の物語が好きな人にはよいかもしれない。逆にリアリストがこれを読むと、梯子を外された感が強くて困ってしまう、になるのでは。読み手を選ぶ小説か。

奇談蒐集家 (創元推理文庫)


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